2024年04月01日
建物は、いつまでも新築の状態が維持できません。竣工した時から建物が傷み始めます。どんな建物でも同じです。劣化要因は、一つは紫外線・二つ目は雨水です。太陽は、建物の劣化を加速させます。雨は建物に湿気などを与え、漏水が起こる場合も多数あります。劣化していくマンションを守り、皆様のお住いの快適な生活を維持する為になくてはならない工事が、『マンション・大規模修繕工事』になります。計画的な建物調査及び診断を定期的に行います。
その結果を元に大規模長期修繕計画を作成します。修繕積立金と予算を理事長の中で話し今後を決定していきます。一般的なマンションの大規模修繕工事は、屋上防水・外壁補修・バルコニー塗装・シーリング工事をします。
工期は、20世帯から30世帯で、3ヶ月間・50世帯で、6か月間です。マンション大規模修繕は、現状維持だけではなく、資産価値の向上が期待できます。実際賃貸マンションは、大規模修繕工事後と大規模修繕工事前では、売却価格が10%前後違う結果報告もあります。最近の修繕工事は、美観性に力を入れた工事をする管理組合様が増えています。
それでは、マンション大規模修繕の工事費用や価格はどのくらいになるのでしょうか?
修繕積立金が足りない場合にはどのようにしたらいいか?
マンション大規模修繕の費用とマンション改修工事の料金や相場のポイント10をご紹介していきます!
ポイント1 マンション大規模修繕の費用と相場について
マンション大規模修繕工事の費用の相場は、マンション1世帯当り100万と言われております。30戸で5階建であれば、3,000万円が平均というわけです。
しかし、弊社の様なコストダウンできる業者は、そんなに多くはありません。大手になるとマンション1世帯当り、150万円をとる会社もありますので、注意が必要です。仮に50戸のマンションの場合、下は2,500万円から、上は7,500万円と大きな開きが出ます。50戸で7階建であれば、2,500万円~7,500万円の費用が工事の時に必要になります。
なんで価格に幅があるのでしょうかと、質問や相談を受ける事があります。その原因は、管理会社経由はどうしても中間マージンが、かかってきますので価格が上昇します。安くできる業者は、大規模専門業者で(専属スタッフ)がいる会社になります。
施工箇所・時期・工事種別によって金額は変動します。マンション大規模修繕は、まとまった資金が必要になることを早い段階から理事会の中で話しをしていくことをお勧めします。
国交省のマンション大規模修繕工事に関する実態調査を初めて実施
~工事を発注しようとする管理組合等が適正な見積りかどうか検討する際の指標となりますのでご覧ください。
下記になります。
http://www.mlit.go.jp/report/press/house06_hh_000154.html
ポイント2 マンションの建物タイプによってもマンション修繕費用の価格帯がかわります
高くなるケースは下記です
A 世帯数が少ない、10世帯から15世帯のマンションの大規模修繕費用は、少し高くある傾向があります。
B タワーマンションや10階以上のマンションは、足場仮設に時間や手間が発生するため高くなります。
C 道路沿いや人通りに近接しているマンションは、高くなる場合があります。
D 敷地が狭い、構造が複雑の建物は、マンション修繕費用が高くなります。
E 特殊なタイルや、高級志向マンションは、高くなります。
安くなるケース
A 敷地に余裕があり、トラック搬入スペース確保なとができるマンション修繕現場は、安くなります。
B 建物高さが、5階建て以下の場合、足場仮設がスムーズに進行して価格帯が安くなります。
C 建物構造が、四角又はすっきりした作りのマンションは、安くなる傾向があります。
D 通常外壁・通常屋上などシンプル系デザインは、安くなります。
自分のマンションがどのタイプか、事前に把握しておいてください。必ずお役に立ちます。
ポイント3 大規模修繕工事ってこんな開きが、マンション大規模修繕費用のデータ
こちらがデータになります。調査データにより若干異なる場合があります。
「マンション大規模修繕費用調査」
1世帯当たりの単価として、データが示されています。
1世帯当たり75万円〜100万円:30.6%
1世帯たり100万円〜125万円:24.7%
1世帯たり50万円〜75万円:13.8%
1世帯当りの平均は、次のようになります。
1回目大規模修繕工事:1世帯当たり100万円
2回目大規模修繕工事:1世帯当たり97.9万円
3回目大規模修繕工事:1世帯当たり80.9万円
1回目の大規模修繕工事から平均単価は下がっています。
※3回目の大規模修繕工事費が下がっている理由として、修繕積立額不足で必要な工事がされていないマンションがあることが考えられます。
通常、大規模修繕は1回目より2回目の方が高くなる場合があります。このことからもわかるように当初から修繕費用を大切に使用していく事が大事になってきます。また、マンションは、大規模修繕工事以外の共用物のメンテナンス必要になり、そのお金も発生します。
ポイント4 マンション大規模修繕の工事内容の調査とデータ管理をしてください
インターネットを最大限に活用していきます。まず最初は、専用クリアファイル(50P)タイプを5部購入する。5部を小分けに設定していきます。1・工事内容 2・工事価格 3・修繕積立額 4・調査内容 5・施工時期
1は、塗装・防水・下地・シール・その他を分類リスト作成します。2は、おおよその工事価格リストを作成します。
3は、積立額を把握する。4は、調査の内容を理解する。5は、工事時期の計画をしておく。
分譲マンションの場合、新築物件の販売促進のため、当初修繕積立金を安く抑える傾向があります。
そのほうが販売しやすいからです。従って修繕積立金が足らなくなる組合様が出てきております。
新築当初から、15年先に向けた大規模修繕に対して調査や話し合い及び上記の5つの共用ファィルを
準備しておくだけで、大規模修繕工事がスムーズになります。ほとんどの管理組合様は、大規模修繕工事予定をしてからスタートするので、色々な面でデメリットが生じています。結果、管理会社ベースで話しを進めてかなりの修繕工事費の支払いをしている管理組合様をよく見ます。
また、新築から少しすると一部の修繕工事をすることがあります。その場合も、必ず2社以上、できれば最低3社見積もりを取ってください。比較検討が出来ます。少額工事以外、50万円超え工事は、相見積もりを必ず取ってください。
修繕積立金が貯まると管理会社から工事を進められる場合があります。その際も皆様で話し合い、工事そのものが、ほんとうに適切な時期の工事なのか? 工事価格は? などしっかり打ち合わせしてください。
ポイント5 修繕委員会の設置
建物新築から3年目になりましたら、修繕委員会を設置しましょう。理事会と兼用でもかまいません。早い段階から設置をする事で、皆様の大規模修繕や小さい修繕の知識が身に付きます。マンションは、自身で保守をする意識を持ち管理会社任せは、やめる事をお勧めします。仕事や家事をしながらの理事会参加、修繕委員会設置は、手間が掛かりますが、その反面、将来に渡り予算を軽減できます。
ポイント6 マンション大規模修繕費用の検討と修繕積立金の値上げ
通常マンションの場合、管理費が高く、修繕積立金が安くなっております。このことから将来的に修繕積立金が足りなくある場合があります。これは、当初の段階で修繕積立金を使いすぎている点や管理会社やその他の会社が、高い修繕工事を実施してしまった、元々の修繕積立金設定が安かった等があります。
50世帯マンションの場合、1世帯当り2,000円修繕積立金を上げれば、1ヵ月当り100,000円になり1年間で、1,200,000円積立でき、余裕ある運営が可能です。検討をお勧めします。
これはあくまでも目安です。実際の修繕積立金は、マンションごとにそれぞれの管理組合が作成した、長期修繕計画に沿って設定する必要があります。議論する価値は十分にございます。
ポイント7 マンション建物調査診断について
マンション建物調査診断をする
建物調査診断は管理会社さんに業者一任を任せるのではなく、理事会・修繕委員会を中心に業者選定をしてください。時間や手間が掛かる面もありますが、工事費のコストダウンに必ずつながり適正化に必要な作業です。
調査診断方法は、下記のような事をします。
ファイバースコープ検査・サーモグラフィー検査・打診検査・漏水対策の場合(散水検査)等があります。
その他も多数ありますが、過剰な調査までする必要は、ありません。予算を決めての調査が
一番お勧めです。ネット検索をすると色々な調査会社がありますので、理事会終了時に業者さんに訪問してもらい、話しを聞くだけで知識になります。調査内容や、調査費等です。ぜひご検討ください。
ポイント8 マンション大規模修繕費用が足りない場合はどうするの
マンション大規模修繕工事やマンション改修工事の費用は、余分な修繕積立金がある場合は少ないです。マンションの多くは足りていない方が実情です。費用が足りない場合は以下の5つです。
1.大規模修大規模修繕の工事内容を見直す
※余分な工事が見積もりに入っている場合があり、精査が必要です。
2.大規模修繕の工事費用を削減する
※数社に見積もりを取ることで削減できます。
3.大規模修繕の工事時期を遅らせる
※時期を遅らせ修繕積立金が貯まるのを待つ
4.一時金を徴収する
※管理組合から一時金を頂き足りない部分に充てる
5.銀行から借り入れを行う
※専用の金融機関から借り入れをする
ポイント9 マンション大規模修繕工事の各工事内容と費用について
マンション大規模修繕は、大きく分けて5項目になります。
1つ目は、建物の廻りに足場組立します。
※費用は、1㎡当り 1,200円~2,000円と幅があり足場仕様によって価格帯に開きが出ます。必要以上な足場はいりません。
2つ目は、建物の下地を補修します。
※現在は、タイルを貼っているマンションが多く、劣化している部位を貼替します。価格は、1枚当り500円~1,000円程度です。タイルの種類によって変動します。
3つ目は、屋上や外壁の洗浄をします。
※洗浄工事は、とても大事で外壁等についた汚れを除去清掃します。清掃後に仕上げ工事に移ります。価格は、1㎡当り100~500円程度になり、薬品洗浄をすると高価になります。
4つ目は、塗装工事です。
※天井やバルコニー内の塗装、廊下階段の塗装(ペンキ工事)と意味が同じです。価格は、1㎡当り1,000円~2,500円と幅があり、特別仕様にすると価格が上がります。
5つ目は、防水工事になります。
※防水工事の中には、バルコニー内サッシ廻りシーリング工事という工事があります。あまり知らない方が多いですが、とても大切工事で雨水から守ってくれます。
かなり重要工事が、屋上防水・ルーフバルコニー防水・バルコニー防水工事、こちらの工事をしないと建物寿命を短くして、ほっておくと下の階に漏水する事もございます。
価格は、1㎡当り2,000円~8,000円と大きく違います。
従いまして、少しの仕様変更・工法変更や材料変更によって、価格は、コストダウンできますので全体の価格も大事ですが、中身(内訳明細書)が大事です。
ポイント10 本体工事以外にも諸経費や現場管理費が発生します
現場管理費は、監督(現場を管理する人)のことで、工事がスムーズに進行するように必要です。
価格は、1ヵ月当りでカウントして工期をかけます。工期3ヶ月なら、3ヶ月×30万円~40万円です。90万円から、120万円になります。
現場管理費以外にも、一般管理費や会社経費などの項目で見積もりに計上する業者もいます。
諸経費は、かなりの金額を設定見積もりする業者がほとんどです。
本体以外の経費もかかる事を頭に入れてください。
カテゴリ:3. マンションの大規模修繕にかかる費用